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一般に、コンクリートブロック製品は他の建材に比べると、著しく耐久性に富んだ建築材料です。そのため施工後のメンテナンスは、通常ほとんど必要とされません。しかし近年、コンクリートブロックの需要は、景観性にすぐれた化粧コンクリートブロックが主体となりつつあります。色合いや肌合いなど、化粧コンクリートブロックの特長をいつまでも損なわずにご使用いただくには、状況に応じた適切なメンテナンスが必要となります。外観や耐久性を損なわせる原因としては、主に次のようなものがあります。これらは一概に製品の性能上の欠陥とは言えませんが、適切な予防と対策で、ある程度防ぐことができます。① 白華「エフロレッセンス」とも言われます。主に水に溶解したセメントのアルカリ成分が、大気中の二酸化炭素などと結合してブロック表面に白く現れる現象です。特にブロック製造直後や施工初期に多く、低い気温や雨・雪などによる多湿、風通しの影響により発生しやすくなります。白華により製品の性能が損なわれることはありませんが、外観が損なわれるため、しばしば問題視されます。② 中性化「炭酸化」とも言われます。セメント水和物が炭酸化により分解され、本来コンクリート製品の持つ強いアルカリ性(pH12~13)が失われて、pH8.5~10程度に低下する現象です。pHが低下すると鉄筋が腐食しやすくなり、塀や構造物の耐久性を損ないます。③ 凍害コンクリートの凍害には、2つのケースがあります。いずれも、特に気温差の大きい寒冷地で施工されたブロックでしばしば発生する現象です。1つは、硬化初期において、凍結または凍結融解の繰り返しにより強度低下や破損を起こす現象で、「初期凍害」と呼ばれます。もう1つは、十分に硬化したコンクリートが、長い年月の間、凍結融解を繰り返した結果劣化するもので、一般的にはこちらを「凍害」として区別しています。凍害の予防策・施工時、降雨によりブロック空洞部内に水が入る恐れがある場合は シートなどで覆い、水の侵入を防いでください。・ブロック天端、横筋空洞部および目地部など、水分侵入防止のために 隙間なくモルタルを充てんし、笠木を確実に固定してください。凍害の例ブロック内部へ雨水が侵入し、内部に滞留した水が凍結と融解を繰り返し、破壊されたと思われる。④ 汚れ経年変化により、コンクリートブロックの表面は雨や雪などの影響で物理的に劣化し、細骨材が露出してきます。露出面は一般に脆弱で多孔質化していくため、凹凸ができ、吸収率も高くなってゆきます。そこに粉塵やカビ菌が付着するために、汚れや黒ずみが生じます。また、泥やホコリなどの他に、カビや藻などがブロックの美観を損なわせる場合があります。特に湿度の高い時期や日陰に多く発生します。⑤ ひび割れセメント製品は乾燥収縮により体積が減少します。また気温の低下によっても収縮します。このように乾燥や温度変化が繰り返されると、ひび割れが発生します。発生の状況は場所や気候によりさまざまです。⑥ その他コンクリートブロックにフェンス(アルミ製・木製)を取り付ける場合は、原則として重量ブロックを使用し、フェンス材料の特性と取り付け方法をよく検討したうえでご使用ください。特にモルタルに硬化促進剤を用いる場合は、混合剤との相性でブロックに悪影響が及ぶ場合がありますので、十分ご注意ください。TOHO General Catalog90 凍害の例1.コンクリート製品の特性コンクリート製品の特性について

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